AWS EC2 PEM 管理|AWS EC2 鍵認証を運用する5つの落とし穴

AWSのEC2 PEM 管理に関するセキュリティ解説 AWS
つのまる
つのまる

「まさか自分の鍵が流出するなんて…」
私はかつて、EC2 PEM 管理の甘さが原因で、大切に運用していたサーバーをゼロから再構築する羽目になりました。
SSHパスワード認証を禁止し、安全だと思っていた「鍵認証」。
しかし、外部の協力会社や個人PCからひとたびPEMファイルが漏れれば、サーバーは一瞬でスパムメール送信の踏み台に変わります。
ダウンロードした鍵をそのまま使っていませんか? その運用には「5つの落とし穴」が潜んでいます。
この記事では、EC2 PEM 管理の重要性と、秘密鍵が流出した際の恐怖について詳しく解説します。

前回の記事はこちら: AWS EC2でSSHパスワード認証を禁止すべき理由

AWS EC2 PEM 管理(鍵認証)は本当に安全か?

結論から述べると、PEMキー(秘密鍵)による認証は強力かつ簡単ですが、その「管理運用」に重大なリスクが潜んでいます。

PEMキー自体は暗号学的に安全ですが、物理的なファイルとして存在するため、紛失や流出のリスクが常に付きまといます。
現代のAWS運用では「鍵を持たない(Keyless)運用」が推奨されるようになっていますが、まずは現状のEC2 PEM 管理におけるリスクを正しく理解することが重要です。

Amazon EC2 のキーペアと Amazon EC2 インスタンス - Amazon Elastic Compute Cloud
Amazon EC2 インスタンスへの接続に使用する一連のセキュリティ認証情報である、キーペアについて説明します。

【実体験】PEMキー流出からサーバー再構築に至った恐怖

筆者が実際に経験した、背筋の凍るような事例を紹介します。

事件の始まり:外部協力会社からの流出

ある日、EC2を踏み台にされて大量のフィッシングメールが送られていることに気が付きました。調査したところ、外部協力会社からPEMキーが流出していたことが判明したのです。

発覚した被害状況

サーバーのログを確認すると、以下の絶望的な状況が明らかになりました。

  • 見知らぬIPからの大量ログイン履歴: 大量に不正アクセスを受けていました。
  • 踏み台化による大量メール送信: サーバーがスパムメール送信の片棒を担がされていました。
  • バックドアの懸念: どこにバックドア(裏口)を仕掛けられたか特定できず、もはやそのOS自体が信頼できない状態に。

結論:サーバー再構築しか道はなかった

一部のファイルを消せば済む話ではありません。どこに悪意のあるプログラムが隠されているか不明なため、泣く泣くEC2を破棄し、完全に新規で再構築することになりました。

このように、EC2 PEM 管理を怠ると重大なリスクを招きます。

教訓: PEMキーは一度流出すると、被害の全容把握が極めて困難です。個人PCでの管理も同様にリスクが高く、「流出させない」だけでなく「鍵を使わない」仕組み作りが不可欠です。


EC2 PEM 管理における「5つの落とし穴」

多くの現場で見られる、セキュリティ上の脆弱なポイントを整理しました。

1. 権限設定(パーミッション)の不備

  • NG例: chmod 777(誰でも読み書き可能)
  • OK例: chmod 400(所有者のみ読み取り可能)

2. キーペアの共有と使い回し

チーム全員で1つのPEMキーを使うのは、監査(誰がいつ入ったか)が不可能になるため厳禁です。

3. ソースコード管理ツール(GitHub等)への誤コミット

パブリックリポジトリにプッシュした瞬間、クローラーに盗まれ不正利用の標的になります。

4. 退職者・異動者のアクセス権残存

共有鍵の場合、担当者が辞めるたびに全サーバーの鍵差し替え作業が発生し、運用が破綻します。

5. 個人PCの紛失・盗難

ローカルPCに保存されたPEMキーは、PC本体の紛失時にそのままサーバーへのバックドアになります。


安全な EC2 PEM 管理を実現するベストプラクティス

① SSH Agent Forwardingの活用

ローカルPCに秘密鍵を置いたまま、踏み台経由で接続。
サーバー間に鍵をコピーする必要がなくなります。

② IAM Instance Connectによる一時発行

AWSがその場限りの一時的な鍵を発行します。
永続的なPEMキーを管理しなくて良い」のが最大の特徴です。

③ Session Managerへの移行【最強の推奨案】

AWSが現在最も推奨している方法です。

  • ポート22番(SSH)を閉じたまま接続可能
  • ブラウザやCLIからログイン可能
  • 操作ログがすべてCloudWatch Logsに記録される
比較項目PEMキー(従来)Session Manager(推奨)
セキュリティ低(流出リスクあり)高(IAM制御、鍵不要)
運用負荷高(鍵の配布・保管)低(IAM設定のみ)
ログ記録サーバー内のみAWS側に全ログ保存

まとめ:これからのEC2接続はどうあるべきか

EC2 PEM 管理は、単なるファイル保存の問題ではなく、インフラ全体のセキュリティ設計に関わる重要事項です。

今すぐ取るべきアクション:

  1. 現状確認: ダウンロードフォルダにPEMキーが放置されていないか確認。
  2. 権限見直し: 共有PEMをやめ、個別IAMユーザー管理へ。
  3. 脱・鍵管理: 最終的には AWS Systems Manager セッションマネージャー を導入し、PEMキーを廃止する。

「鍵をいかに守るか」から「鍵を持たずにどう安全に接続するか」へシフトしましょう。